北極航路

北極航路を行く飛行機の窓からはずっと変わらず低く太陽が昇り続けていました

オレンジ色と群青色とのグラデーションが美しい窓の外の光景にもすぐに飽き

低く唸り続けるエンジンの音と退屈な機内放送の映画と

ただただブランケットにくるまって眠気のない眠りに落ちようと

夜と昼との境すら曖昧な空をただひたすらに飛んでいました


あるときふと眠りと覚醒とのどちらともつかない狭間の中から

誰かの手が飛行機の丸っこい窓のサンシェードをすっと上げた時

まぶしい太陽の光が機内を驚くほどの明るさで照らし出し

ここが目的地の空であることに気付きました

窓の外に広がる青い空に浮かぶ雲を見たとき

わたしはそれがとても美しいと思いました




なんとなく小さい頃に飛行機に乗った時のことを思い出して書きました
失礼しました。